こんにちは、今日は、ジャワ秘伝のJamu/ジャムゥという生薬について記録したいと思います。このジャムゥは、西洋医学が浸透した現代でもインドネシア人の間で親しまれている生薬の一種です。
バリ島などでも購入できるのでインドネシアの伝統秘薬として紹介されることも多いジャムゥですが、元々はジャワ島のソロという地が発祥だと言われています。インドネシアの各地でジャムゥを手に入れることが可能です。しかし、既製品ではないジャムゥの多くはジャワ人の手によって作られています。(伝統的な知識、材料を手に入れるネットワークがない人間に参入するのは難しい業界だと予想されます。)そして、そうした既製品ではない手作りのジャムゥは、材料の多くがジャワ島から調達されることもあって、ジャワ島外で購入すると倍くらいの値段がします。
ジョグジャカルタ市内では、自転車やバイクに自家製のジャムゥを積んで売り歩くIbu Jamu/ジャムゥおばさんに出会うことができます。
効果もばっちりで、私はジャムゥのおかげで鎮痛剤の服用回数が減りました。今では、ジャムゥが欲しいタイミングでジャムゥおばさんを見つけると思わず駆け寄ってしまうほどに、ジャムゥの虜です。
そんなジャワ秘伝の生薬について、私のジャムゥ体験も含めて記録したいと思います。
ジャムゥとは
ジャムゥとは、ジャワ島のソロという町で発祥したといわれるジャワ伝統の治療薬です。病気の治療から、予防医療、美容にも使える万能な伝統秘薬なのです。この生薬配合に関する知識は、伝承知識として一部の人々に受け継がれています。
複数の生薬を治療目的によって配合し、すり潰し、ジュース状にしたものが、一般的にジャムゥと呼ばれています。効能は様々で、鎮痛から精力剤的なものまでジャムゥの知識がある人にオーダーメイドして作ってもらうことも可能です。ジャムゥカフェなるものもあります。
私が好んで飲んでいるのはKunir Asam(ウコンとタマリンドウ)のジャムゥです。これは、生理痛やPMSなどの女性ホルモンや月経にまつわる諸症状を緩和する効果があるそう。実際に、生理前の頭痛や腹部の不快感など、ジャムゥを口にした瞬間にすぅーっと消えるのは不思議すぎて病みつきになりました。生理中の鎮痛剤も量が格段に減りました。
Kunir Asam(ウコンとタマリンドウ)のジャムゥは、ジャムゥおばさん定番のメニューに、必ずと言っていいほど、この種類のジャムゥを積んでくれています。あとは、お米とジャワの黒砂糖、ショウガを混ぜたやつなども、定番メニューですね。
ジャムゥとはもともとサンスクリット語の「ジャパ(Japa)」が語源とも言われているようで、ジャパとはもともと魔法の呪術を意味する言葉ようです。それが、薬剤を取り入れて呪術を執り行うようになり、「ジャムピ」という言葉に発展、現在の「ジャムゥ」になったようです*1。
買える場所
ジャムゥおばさん/Ibu Jamuから買う
一番、新鮮な(?)ジャムゥは、やっぱりジャムゥおばさんから直接買うのが一番です。グラスで購入した場合、その場で飲み干します。(小袋/Bunksにしてくれる場合もあるが、おばさんによって用意していない場合もある。)
- グラス(小袋):Rp.2000~Rp.3000
- ボトル(500ml):Rp.5000~Rp.7000
こうしたボトルは、路肩の販売所などで買うことも可能です。ジャムゥおばさんが委託で卸していることも多いので、ジャムゥおばさんから買う手作りジャムゥと同じようなものであることが多いです。ラベルにはばっちり、「Jamu Traditional Asli Solo/ソロ伝統のジャムゥ」って書いてありますね。
ジャムゥカフェで買う
ジョグジャカルタにはジャムゥを専門販売する店舗も多数存在します。レストランやカフェなどが併設している場合が多いです。メニューが豊富なので、直接自分の症状をお相談し、ジャムゥを選んでもらうことができます。
店内で味見をしてから購入することが可能です。店舗によっては、液体だけでなく、乾燥した粉末状(お湯に溶かして飲む)のインスタントジャムゥ(手作り)を販売している場合もあります。
- 店内で飲む場合(グラス):Rp.5000~
- 粉末状インスタントジャムゥ:Rp.12,000~
- 調理前のジャムゥの材料:Rp.20,000~
ジャムゥの種類によって値段が変わりますので、おおよその目安としてください。店内にメニューを設置している場合もあります。
▼ジョグジャカルタのジャムゥカフェに行ってみた記録はこちらです。お勧めのジャムゥカフェなどの情報もまとめました。
お土産屋さんで買う(Hamzah Batik Malioboro)
マリオボロ通りのHamzah Batikというバティック/お土産屋さんでもジャムゥを買うことができます。
- Batuk一杯(Rp.2,000~)
- ボトル一本(Rp.8,000~)
▼Hamzah Batikについてはこちらの記事で詳しくまとめています。
既製品をコンビニ・スーパーで買う
キランティは、製品化されている有名なジャムゥのひとつです。中身は、Kunir Asam(ウコンとタマリンドウ)のジャムゥです。女性の健康な月経サイクルを助けるという効能が記載されています。(ちなみに妊娠中の女性は飲めませんので、注意が必要です。)
こちらは、風邪などの諸症状、のどの痛みやお腹の調子が悪い時などに使えるジャムゥです。飴バージョンもありましたが、効果はいまいち・・・。液体のものを直接飲むタイプが一番効きます。こうした既製品は、薬局はもちろん、スーパーやコンビニなどでも買えます。特に、このはちみつ生薬系のジャムゥは、飛行機に乗る時にとても便利です。機内の乾燥から喉を守ってくれます。
- Kiranti(キランティ)ボトル:Rp.6,000~Rp.10,000 (コンビニで冷蔵されている商品は比較的高い)
- Antangin(アンタンギン)小袋:Rp.2,000~Rp.5,000
- Antangin箱買い(5袋~):Rp,10,000~
ジャムゥ製品いろいろ
ジャムゥ製薬会社が作っているコスメ
ジャムゥには、肌荒れを抑えたり、美白効果があると言われているものもあり、そうした効能を謳ったコスメ製品も多数存在します。最近は、オーガニックハーブコスメとして人気が出ているものもあります。
Sari AyuやMustika Ratuの化粧品は、香りもよく、値段もお手頃で、スーパーやドラッグストアなどで簡単に手に入るので、私も愛用しています。ボディクリームやスクラブなどは、お土産にも最適です。
「ジャムゥ」を謳った怪しげな商品には要注意
インドネシア人の間で用途も様々、日常的に親しまれているジャムゥ。しかし、最近違法性/中毒性の高い成分が使われてるとして多量のジャムゥ商品が検挙/摘発されるというニュースもありました*2。特に精力剤的な効果を謳ったものなどが違法性の高い製品だったようです。また私が個人的に見ていて不安なのは、インドネシアの女性に人気の「美白」を謳った商品です。パッケージ等に成分などの記載が一切ない商品も出回っていて、その効果も明らかに不自然に肌が漂白されるというもの・・・。コスメ関連商品も検挙されているようですが、おそらくそういった類の商品だったと予想されます。(「ジャムゥ」そのものが検挙されたというよりも、「ジャムゥ」を謳って違法な成分を使用していた商品であった可能性が高いです。)
伝統的な生薬を使用しているとは言えど、薬は薬です。過剰摂取などは、身体によくないですし、きちんと容量用法を守って使用する必要があります。きちんとした製品には、パッケージに容量用法や注意事項が書いてあります。またジャムゥおばさんから購入した場合は、直接聞いてみるのもありです。基本的に一日一杯、調子の悪い時に頼るという使用方法がいいのかなと思います。
まとめ
- ジャムゥはジャワ島ソロ発祥。
- よく効く!
- ジョグジャカルタではジャムゥおばさんから作りたてのジャムゥを買える。
- ジャムゥカフェでは、たくさんの種類から自分の症状にあったものを選べる。
- コンビニやスーパーでも、既製品ジャムゥを買える。
- サリアユ、ムスティカなどのコスメも実はジャムゥ製薬会社の製品。
- 容量用法を正しく守ってジャムゥを楽しみましょう。
この記事を書くにあたって、調べていたらジャムゥカフェなるものを発見し、調べてみるとジョグジャカルタに数十か所存在していることがわかりました・・・・。ジャムゥカフェ巡りしてみたい・・・・!スマランのジャムゥ博物館にも行ってみたいですね。まだまだ奥深いジャムゥの世界・・・・。調べたりないことがいっぱいですが、今回はとりあえずここまで。
以上、ジョグジャカルタで買えるジャワの伝統秘伝ジャムゥの記録でした!
▼ジョグジャカルタのジャムゥ記録第二弾。ジャムゥカフェに行ってみた記録です。
▼Hamzah Batikでは、Batuk(椰子殻)でジャムゥが飲めたり、ビンの既製品ジャムゥが買えたりします。
▼ジャムゥの歴史と効能を薬学部の方がまとめた本です。
*1:高橋澄子『ジャムゥ インドネシアの伝統的治療薬―歴史と処方の解釈』
*2:Daftar Lengkap: Produk jamu, kosmetik dan obat kuat berbahaya