犬が吠えども、キャラバンは進む。

Biar anjing menggonggong, kafilah tetap berlalu. インドネシアでひとを研究しているある院生の備忘録。

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【Yahooブログサービス終了】WEBサービスの終了に伴って起きる情報資料の多量喪失について考えてみた【未来のサイバー歴史学者に送るエール】

こんにちは、今回はすこし学問的、あるいは個人的な話題です。

 先日(2019年2月某日)、Yahooブログサービス終了のお知らせが私のメールボックスにも届きました。私がYahooブログを使っていたのは約10年ほど前、その時も留学経験の備忘録的な意味合いでブログを更新していました。留学から帰国後、私生活が忙しくなり、ブログのネタも見つからなくなってきたので、更新停止となっていました。しかし、留学中の記録は今後その国に旅立つ人の役に立てばと思い、更新停止宣言をしつつ、記録自体はこの10年間そのままの形で公開していました。

 Yahooブログサービス終了の連絡を受けた後、今後の対応について考えるため、サービス終了後のYahooブログ記事の扱いなどについて調べました。今回は、Yahooブログサービス終了に関連する重要事項と、それに伴って起きると予想される情報資料喪失の懸念についてまとめてみたいと思います。

Yahooブログサービス終了、ブログはどうなるのか

 Yahooブログサービス終了後、ブログに記述された文章はどうなるのか。現在のところ、Yahooの提示するスケジュールに沿ってデータの移行が行われなかった場合、一定期間保存後、すべて削除されることになっています。

12月16日以降、Yahoo!ブログからはブログが閲覧できなくなります。データは一定期間保存したあと、破棄されます。(「よくあるご質問:これまで作成したブログはヤフーに残りますか。【3/1追記】」:Yahoo!ブログ サービス終了のお知らせ

この一定期間がどれくらいのものなのか、一般公開はされないものの資料として活用する手段があるのか、などは明示されていません。

Yahooブログサービス終了までのスケジュール

4月15日から、ベータ版(2011年よりサービス開始)のサービス終了され、その後移行期間を経て、2019年12月16日にYahooブログの全サービスが終了します。

4月15日:ベータ版のサービス終了

5月9日:他社ブログへの移行ツールの提供開始

8月31日:Yahooブログ上の記事・コメント・トラバックの投稿/編集機能停止

12月16日:移行ツール及びYahooブログ閲覧サービスの提供終了

ブログデータのダウンロードには対応しない

 私のように、更新停止をしているもののブログのデータ自体は削除したくない、しかし、今後他社ブログに移動してまで公開し続けるつもりもない、というひとは、ブログデータのダウンロードやブログ本化を考えるかもしれません。

 結論から言いますと、Yahooブログサービスから直接ブログデータのダウンロードや、書籍化*1は現在のところできません。

 しかし、他社ブログへの移行後、ブログデータのダウンロードや書籍化ができる可能性があります。そのため、ブログデータのダウンロードや書籍化を考えている方は、移行先のブログサービスでダウンロードや書籍化をどのようにおこなうか等を確認してから移行したほうが良いかもしれません。

可能な移行先

 Yahooブログはブログデータのダウンロードに対応しないので、移行先を自由に選べません。現在Yahooブログが移行先(移行ツール対応先)として挙げている他社ブログサービスは、以下のようなものになっています。

アメーバブログ(5月9日より移行開始)
ライブドアブログ(5月9日より移行開始)
Seesaaブログ(5月9日より移行開始)
はてなブログ(7月上旬より移行開始)

はてなブログだけ、7月上旬からのようです・・・・。

書籍(ブログ本)として手元に置きたい場合

 MyBooks.jpというウェブサービス会社では、ブログの製本化を請け負っています。2008年からYahooブログとの連携サービスを行ってきましたが、2013年に連携が終了しています*2

 しかし他社ブログに移行後に、ブログの製本化の注文することができる場合があります。ページの調整やデザインなどの細かい調整は個人で行う必要があるようです。

MyBooks.jp - Yahooブログからのご利用について多くのお問い合わせをいただいています。(以前は、Yaho... | Facebook

www.mybooks.jp

 MyBooks.Jpのほかにもいくつかブログ製本を請け負っている会社があるので、料金や評判などを比較してみるのもいいかもしれません。

 ちなみにMyBooks.Jpの製本化サービスを利用するには、

  1. MyBooks.jpに対応しているブログサービス

  2. MyBooks.jpには対応していないが、ブログデータをMT形式で出力して保存することが可能なブログサービス

を利用している必要があります。

 今のところYahooブログの移行先として挙げられている4社(アメブロ・Live door・Seesaa・はてなブログ)のすべてが、1.MyBooks.jpに対応しているブログサービスとなっているようです*3

Yahooブログのような個人的な文書の価値について

 Yahooブログサービス終了は、個人的に寂しいと感じますが、私自身もYahooブログでの更新をやめてしまったわけなのでサービスとしての衰退を認めざるを得ないのかもしれません。

 私がYahooブログ使用していた当時(10年前)は、しょこたんをはじめとするブロガーが、一日に何度も短文の記事をアップロードしていました。写真の撮れる携帯電話が普及し始めて、写メ*4ブログ、つまり携帯で撮った写真をメールでブログサーバーに送信し、投稿するという方法が流行っていました。

 Yahooブログというサービスでは、丁寧な旅行記などの文章を上げている人がいる一方で、個人の日記のような文章を上げてコミュニティの中でコメントをしあって楽しむひとがいました。写メブログという形で短文と写真をアップロードする更新方法は、現在のツイッターなどの利用方法に近いものがあります。(そのためブログから、他のSNSへ移動していった人も多くいると思います。)

 Yahooブログサービス終了の知らせを受けて、久しぶりに自分のブログを確認したものの、所詮は個人的な日記(というよりもはや黒歴史)、移行するのも面倒だしこのままインターネットの藻屑と化して飛散してしまえばいいなんて思っている人も多いかもしれません。

 しかし、ここで少し立ち止まってその個人的な文章の数百年後、数千年後、あるいは今日におけるその文書の情報価値を考えてほしいのです。極端な話、例えば紀貫之が女のふりをして書き連ねた日記は、立派な史資料であり、日本文学資料であり、2019年現在において藻屑に消えていいと判断される文章ではない*5のです。

落書きも2000年経てば立派な歴史資料

 紀元79年のペスビオ火山の噴火で壊滅したポンペイという町は、世界的に有名な南イタリアの遺跡です。この噴火の粉塵はポンペイの町を飲み込み、何千年もの間噴火で町が埋もれた瞬間の状態を保存していました。

 ポンペイの町の壁に書かれた落書きは、保存状態が良く現在も見つかるたびに解読されては、当時の町の様子を伝える貴重な資料となっています。

 最近だと2018年にある労働者が書いたと思われる日付の落書きが発見され、噴火発生日の特定を可能にするのではないかと期待されています。

 町中に残る落書きは、建築物や燃え残った家財に加えて、ポンペイの日常生活や当時を生きた人間の言葉を伝える非常に重要で興味深い資料となっています。

ポンペイ・グラフィティ―落書きに刻むローマ人の素顔 (中公新書)

ポンペイ・グラフィティ―落書きに刻むローマ人の素顔 (中公新書)

 
古代ポンペイの日常生活 (講談社学術文庫)

古代ポンペイの日常生活 (講談社学術文庫)

 落書きがここまで貴重な資料になりえるとは、当時もちろん誰も想像していなかったことでしょう(2000年後に発掘されて解読される羽目になるなんて!)。

個人的な記録は、様々な側面から充分な資料価値を持つ

 私たちの残した個人的な情報群がもし、未来人に発見されたら・・・・。今の私たちの生活や文化がどのように再現されるのでしょうか。町の壁に書かれた落書きが、2000年後に人々の生活の様子を伝えることができるのならば、ブログのようなまとまった文書群(すべての記録に付随する日付情報もおおよそは正しい)は、今後どれだけの資料的価値を持つのかわかりません。

 また言語学の側面から考えた場合、これらの文書は、貴重な自然言語*6の蓄積であります。

 さらに、個人が書いた日記として蓄積された文書の中に、「祭り」や「災害」などの記録が織り込まれている場合があります。そうした特定の日にち・地域・単語を中心に関連した文書を検索し、集めることができれば、その特定の事象に関する様々な視点の貴重な資料となりえるわけです。

 そして、Yahooジオシティーズのサービスが終了する際に公表された文書の中でも言及されていましたが、こうしたウェブ上のサービスを使用して表現されたコンテンツは、「その体裁やデザインも含めて、その時代のインターネット文化そのもの(サービス終了のお知らせ - Yahoo!ジオシティーズ」なのです。(お知らせページの文章の下のぐるぐるをクリックすると、あの時代に飛んでいけます。)

Webコンテンツ保存の難しさ

 インターネット上で情報が公開されるようになってから、30年以上が経ちました。インターネットが各個人の手のひらで手軽に閲覧できるようになってからは、「炎上」といわれる事態が発生し、その空間における情報の拡散力が懸念されることも多くなりました。

 しかし一方で、過疎化したサービスは、その運営維持費の削減のためにサービスを終了し、インターネット上に公開されていた文書は跡形もなく消えてしまうという危機に瀕しています。もちろん、サービスを提供していた会社は移行などの手段を提供し、極力ユーザーのデーターをむやみに消失へ追い込むことがないように配慮、対応を行ってくれています。

 それでも、故人が残したWebコンテンツは、データ抽出・移行の権利を持つ個人がその意思表明、行動を起こすことがありません。さらに、インターネットという特殊な空間では、家族や友人にブログやサイトを公表せずに更新しているひとが多いのも事実です。すると家族などはその存在すら知らされていないため、管理者および権利保有者を失ったWebコンテンツはサービスの終了と共に消失するしかありません。

 こうした情報は管理・利用の仕方を誤ると倫理的な観点から一斉に批判を受ける可能性もあります。Webコンテンツを提供する会社も、利益が出ないままにその管理費用の負担やリスクを負い続けることはできません。さらに、会社自体がなくなるという場合も考えられます。そして、管理者も権利保有者も、データ保存者/保存場所も失ってしまえば、Web上のコンテンツは本当に跡形もなく消えてしまいます。

 大昔の人間が紙に書き残した日記などは人知れず蔵の奥底に放置されて、ふとしたタイミングで発掘されたりするものです。しかし、インターネット上の文書は、サービス終了とともに消失する可能性がとても高いのです。

 まぁしかし、某人類学者のように自分が死んだ後に日記を公開されて一儲けされるなどという事例もあるので、人知れずひっそりとサービス終了とともに闇に葬り去られるのも一興、インターネットの良さなのかもしれません。

私のYahooブログ上の文書の今後について

 ここまで、消失の危機に瀕したYahooブログ上の文書の価値について考えてみました。結論として私は、10年前に自身が記したインターネット上の文書を紙に印刷し書籍化することにしました。

耐久性が高く、手間のかからない資料保存方法⇒ブログ本の個人保管

 インターネット上の文書の耐久性を考えた場合、例えYahooブログを異なるブログサービス上に移行したところで、サービス終了という事態に陥る可能性は変わりません。サービス終了のたびに移行繰り返すのも手間ですし、そもそも私自身がいつまで管理にかかわれるのかという点に関しては、せいぜい長くてもあと100年もないでしょう。

 そう考えると物理的に耐久性の高いものにその情報を書き起こすということが最良の手段であるといえます。

 ある歴史学者が、最も長期保存のきく文書保存の方法を聞かれた際に「石です」と答えたという逸話を聞いたことがあります。歴史資料としての価値を信じ、何千年後へその情報を伝達しようと考えるのならば、石板に掘るということが最良の手段になるでしょう。

 しかし、残念ながら、私にはブログの文書を石板に掘る気力もなければ、多量の石板を保存する場所も持ち得ていません。そのため、石のよりも手軽で、保存性に優れていると考えられる紙を使うことにします。本当は、墨などを使って記述するとさらなる文字の保存性が期待されるのですが、これまたそんな気力も時間もないため、印刷という手段を使用することにします。

 Yahooブログからはてなブログへの移行は7月上旬に開始されるとのことですので、それ以降に上記で紹介したMyBooks.jpのサービスを利用して、10年前のYahooブログを書籍化しようと思います。そしてなるべく日光の当たらない場所に、酸素に触れないよう密閉した状態で保管すれば、より長期の保存性が期待されると思います(多分)。

 また、ブログ本を編集する過程で、葬り去りたい不都合な真実などは、自己検閲によって削除することも可能です。この点も、情報提供者としては非常にありがたいですね。

未来のサイバー歴史学者に送るエール

 「サイバー歴史学者」とは、私が先ほど作った造語です。きっと、数百年後にはインターネット上の歴史的価値のある文書や情報を収集し解読するという手法で、近代人類史を探求する研究者が出てくるのではないか、という想像から作り出しました*7。未来のサイバー歴史学者は、きっとサーバー上に残された多量のアーカイブ資料の中から必要な情報を発掘し解読するなど、日々頑張っていることと思います。

 しかし、私は、サーバー上の情報を物理的に書き起こすという普遍的な記録方法が最良であるという結論に達し、情報を書籍化することにしました。そのため彼らサイバー歴史学者は、サイバー歴史学者にとっては畑違いの、物理的な文書の収集を余儀なくされることと思います。マルチメゾットによって描き出される私たち古代人の私生活はさぞかし興味深いものになると信じています。どうか書籍収集の困難を乗り越え、立派な成果を出せますように。

 このWebサービス終了に伴って起きる情報消失への懸念という個人的な記録は、私の勝手に想像したサイバー歴史学者、未来の同胞に向けたエールです。どうしようもなく広いインターネットの中で、知名度も業績もないただの学生が、少し背伸びをして、資料の喪失を食い止めたいと思って書きました。(著作権等の観点から、私はあくまでも著作者自身の表現物保管を想定しています。)

 もし、この文書を読んだあなたが、Web上で何かしらの表現を行っているのだとしたら、その価値ある情報の保存活動をぜひ実践していただけたらなぁと思います。

 以上、Webサービス終了に伴って起きる情報資料の喪失について考えてみた記録でした。

*1:2008年から対応していたYahooブログ書籍化サービスは2013年に終了しています。(「ブログ本の作成サービス」の終了に関して ( ネットサービス ) - Yahoo!ブログからのお知らせ - Yahoo!ブログ

*2:「ブログ本の作成サービス」の終了に関して ( ネットサービス ) - Yahoo!ブログからのお知らせ - Yahoo!ブログ

*3:MyBooks.jpを利用可能なサービス一覧 | MyBooks.jp

*4:写真をメールで送ること

*5:もちろん当時の識字率を考えれば文字資料は非常に希少性が高く、執筆者も位が高い人間である可能性が高いので、一概に価値比較はできません

*6:人間社会で自然発生的に構築された言語を自然言語、システム構築のために作られた言語を人工言語と言い分けるようです。ちと専門外なのでお手柔らかにご指導願います。

*7:現在もすでに自然言語のデーター収集(と、その機械学習)にインターネット上の文書が使われていて、言語学者兼エンジニアみたいな感じのことをしている人がいるようです。



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