はてなブログの今週のお題は「お気に入りの飲み物」なんだそうです。
日本は桜が美しく咲き乱れる春先、インドネシアはジャワ島の雨季も明けてまいりました。せっかくなので、ジャワ島の肌寒い雨季を乗り越える強い味方であったジョグジャ名物Wedangを、私のお気に入りの飲み物として記録しようと思います。
今回記録するのは、Wedang Uwahという飲み物の一種です。Wedangとはジャワ語で「飲み物」、Uwuhとは、ジャワ語で「ゴミ」の意味です。直訳すると、「ゴミ飲料」なわけですが・・・・。肌寒い季節にピッタリな、とっても美味しいほっとドリンクなのです。
知る人ぞ知るジョグジャカルタ名物「Wedang Uwah(ゴミの飲み物)」とは
Wedang Uwuhとは、上記で説明したようにジャワ語で「ゴミ/Uwuh」の「飲み物/Wedang」という名がつけられた飲み物です。名前の由来は、飲み物の中に入っているショウガなどの香辛料があたかも「ゴミ」のように見えるからだそう。
Wedang Uwuhは、インドネシアのジャワ島に位置するジョグジャカルタにみられる伝統的な飲みものの一種です*1。
インドネシアは多数の島で形成された多民族国家であり、気候や環境、文化、言語も異なるため、インドネシア人であっても他地域出身者にとっては、Wedang Uwuhというジャワ伝統の飲み物も興味深い異文化です。そのため、ジョグジャカルタに訪れるインドネシア人国内旅行者向けのレストランなどでも提供されています。
見た目のハードルが高いからか、外国人向けの観光エリアでは見かけたことがありませんでした(見落としてただけかも?)。
本当に「ゴミ」が入った飲み物にみえる
Wedang Uwuhを初めて見たときは、やはりそのビジュアルにびっくりします。赤い液体に、黒いゴミのようなものがたくさん浮いていますし、明らかに葉っぱのようなものが取れました。
どこからどうみても「ゴミ」です。木片なども入っています。(液体の赤い色はこの木くず/スオウの色です。スオウと言う木は、染料にも使われるほど赤い色素が強くでるようです。)
よく見ると一番大きな黒い塊は、焦がされたショウガです。丁子(クローブ)もそのままの形で浮いています。
以前読んだ香辛料の歴史の中で、「丁子などを使用した文化的要素が原産国東南アジアにみられない」と記述されていました(喫煙はインドからの文化だと言われているため、丁子煙草はマレー独自の文化とは示しにくいらしい)。が、ジャワのWedangにはふんだん丁子が使われていますね。
ヨーロッパにも丁子を使って煮込む赤ワイン(グロギ/ホットワイン)という飲み物がありますが、どちらの発祥が先なのか、、伝播したものなのでしょうか、、、寒い季節には、クローブの香りがする、赤くて甘い飲み物が、地球規模で散見されるのは不思議な事です。
ショウガと丁子(クローブ)の効いたあったかくって甘い飲み物
Wedang Uwuhは、名前もビジュアルも衝撃的ですが、味はどこか懐かしいほっこりとした甘い味です。たっぷりの氷砂糖(Gula Batu)とショウガの香りがとてもよく効いた体の温まる飲み物です。
ジャワの雨季は肌寒く、熱帯地域であるにもかかわらず手先が冷えることもしばしばあります。このショウガと香辛料がふんだんに使われた甘くてあたたかな一杯は、雨季の寒さで冷えた体に染みます。Wedangが伝統的な飲みものであることを考えると、この甘さと暖かさがずっと昔からジャワの雨季を乗り切るひとびとを支えてきたのだなぁと思いました。
Wedang Uwahが飲める場所
ジョグジャカルタ市内にはWedang Uwuhの屋台がいくつかあります。また、観光客向けに、ジャワ料理を提供するレストランなどでもWedang Uwuhが飲めます。
元々の発祥の地は、ジョグジャカルタ市から南に離れたImogiri(kabupaten Bantul)という地域のようです*2そのため、その地域には、Wedang Uwuhの屋台がたくさんあります。
Bakmi Mbah Gitoは、私が一番初めにWedang Uwuhを見つけたジャワ料理屋さんです。美味しいジャワ料理のバクミ(卵と麺が絡み合うジャワ焼きそば)も食べられます。店内の装飾もジャワ文化が満載で、素敵なレストランです。
Wedang Uwuhの値段
- 一杯(専門屋台/Warung):Rp.5,000(約45円)~
- 一杯(レストラン) :RP,8,000(約65円)~
- Wedang Uwuhの素一袋 :RP,2,000(約15円)~
Wedang Uwuhの作り方
この記事を書くにあたってWedang Uwuhを調べていたら、クックパッドにその作り方を丁寧に載せている方がいたので、翻訳して記録しておこうと思います。日本の冬にもピッタリなので、いつか日本で冬を越える時には作りたいと思います。
Wedang Uwuhの材料
700 ml Air(水:700ml)
40 gr Serutan Kayu Secang Kering(スオウの乾いた木くず:40g)
50 gr Gula Batu (atau Gula Pasir)(氷砂糖か砂糖:50g)
6 cm Jahe (Memarkan)(ショウガ/皮をむいたもの:6センチの大きさ)
2 Lembar Daun Kayu Manis Kering(乾いたシナモンの葉:2枚)
3 Lembar Daun Cengkeh Kering(乾いた丁子の葉:3枚)
3 Lembar Daun Pala Kering(乾いたナツメグの葉:3枚)
10 Butir Cengkeh (atau Batang Cengkeh)(丁子の実:10粒)
Wedang Uwuhの作り方
- ショウガを焼く
- 鍋に水を入れる、ショウガ、丁子、スオウの木くず、丁子の葉など上記材料も鍋にすべて入れる。
- 水を沸騰させ、15分ほど材料をゆでる。
- グラスに移して、出来上がり。
参照:Wedang Uwuh Khas Imogiri Yogyakarta*3
作り方自体は、簡単そうですが、やはり材料を集めるのが大変そうです。日本でスオウ(インドネシア・マレーシア原産の木)の乾いた木くずとかどこで手に入れたらいいんだ・・・。
まとめ
- Wedang Uwuhはその名の通り「ゴミ」が入った飲み物。
- しかし、とても美味しい。
- 「ゴミ」の正体は、ショウガや丁子などの香辛料。
- ジョグジャカルタで飲める。
- ヨーロッパのホットワインに似ている。
- 肌寒い雨季を乗り越えるジャワ人の知恵が詰まった温かな飲み物!
以上、ジョグジャカルタ名物ウェダンウウォについての記録でした!
▼ジャワ名物Wedang(飲み物)の一種、黒砂糖が入った白玉とピーナツが香ばしいほっこりスウィーツ「ロンデ」も、とても美味しいです。
〇ジョグジャカルタのおすすめスポット、美味しいものなどは、ジョグジャカルタの好いところカテゴリーにまとめています。
*1:正確にはジョグジャカルタの南部Imogiri地域が発祥だといわれている
*2:TribunJogja:http://www.tribunnews.com/travel/2015/06/02/wedang-uwuh-minuman-khas-imogiri-yogyakarta-diracik-dari-kayu-manis-dan-secang
*3:https://cookpad.com/id/resep/3812677-wedang-uwuh-khas-imogiri-yogyakarta