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Biar anjing menggonggong, kafilah tetap berlalu. インドネシアでひとを研究しているある院生の備忘録。

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日本の風邪薬(インフルエンザ用の薬)がコロナに効くというニュース(kompas)がインドネシアで話題になっている件

こんにちは。今回も、時事系ネタです。

 昨日、日本ではそこまで話題になっていない「日本の風邪薬がコロナウィルスに効く」というニュースをインドネシア人からシェアされたので、その件に関する英語・日本語のニュースなどを集めてみました。

※誤訳・誤情報が紛れ込んでいる可能性もあるので、各自・適宜参照元を確認していただければ幸いです。

 日本の風邪薬がコロナに効く?????(Kompas)

www.kompas.com

 昨日(3月18日20時:ジャカルタ時間)の記事です。上記の記事とそれに関する「医療関係者(インドネシア人)」による情報に対する医学的に詳細なコメントが、フェイスブックでシェアされていました。シェア元のフィールドにはすでに100以上のいいね!が付けられています。

タイトルには、「中国:日本の風邪薬Aviganがコロナウイルスを効果的に治療(China: Obat Flu Jepang Avigan Efektif Obati Virus Corona)」とあります。

Otoritas kesehatan di China menyatakan, obat asal Jepang untuk mengobati flu efektif dalam mengatasi virus corona.

(中国の保険当局は、インフルエンザを治療する日本製の薬がコロナウィルスを克服するのに効果的であると発言しました。)

China: Obat Flu Jepang Avigan Efektif Obati Virus Corona

  この記事には、薬の名前(Avigan)、開発元として富士フィルムなどが言及されています。英紙のガーディアンなども同日にこの話題を取り上げています。

www.theguardian.com

 しかし、不思議なことに、現在日本ではあまり話題になっていません。

実は日本での公表は、2月末

 3月18日になって、世界的取り上げられたこの情報は、実は2月22日の時点で公表されていたようです。しかし、この時点では有効性の検証段階。

www.mixonline.jp

 3月18日になって世界的にニュースとなったのは、中国の研究所が有効性を認めたことが大きく影響してそうです。このニュースが英語によって報道され、インドネシア語のニュースにもなっている可能性が高いです。

www3.nhk.or.jp

しかし、アビガンは簡単に手に入る薬ではない

fftc.fujifilm.co.jp

 インドネシア人コミュニティにもシェアされていた情報ですが、アビガンは「obat flu(風邪薬)」(インドネシアではインフルエンザと通常の風邪の区別があまりなく、fluというinfluenzaの略語を通常の風邪症状を表す際にも使用しているため、「風邪薬」というイメージになる)いう単語でイメージされる身近な「薬」ではなく、簡単に手にできるものではありません。

本剤は、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効又は効果不十分な新型又は再興型インフルエンザウイルス感染症が発生し、本剤を当該インフルエンザウイルスへの対策に使用すると国が判断した場合にのみ、患者への投与が検討される医薬品である。

アビガン錠に関する情報 | 富士フイルム富山化学株式会社

  処方箋だけでなく、「国の許可」がなければ使用できない薬です。理由はおそらく副作用の強さ(日本人に有効性が認められていないという記載もありました)。

このお薬は、動物実験において催奇形性などが認められており、妊娠中に服用することで胎児奇形や流産・死産を起こす可能性があります。

http://fftc.fujifilm.co.jp/med/abigan/pack/pdf/abigan_consentform_01.pdf:患者同意書アビガン錠に関する情報 | 富士フイルム富山化学株式会社

 

 つまり、インドネシア人に「コロナの薬、買ってきてよ!」なんて頼まれても、絶対手に入らない代物であり、リスクもそれなりにあるお薬だということです。ここら辺、上記のコンパスの記事では触れられていない気がします。

保健省「サクラ」ってなに?

 コンパスの記事構成は英紙ガーディアンの情報と酷似しており、記事内でもガーディアンの報道に言及していることから、おそらく英紙ガーディアンの内容をインドネシア語訳したものだと推測できるのですが、ひとつ気になる文章を見つけましたので追加検証です。

 Sumber dari kementerian kesehatan Negeri "Sakura" mengungkapkan, Avigan itu tidak efektif jika gejala yang dialami pasien sudah parah.

保健省「サクラ」によるとアビガンは重症患者に効果はなかった。)

China: Obat Flu Jepang Avigan Efektif Obati Virus Corona Halaman 2 - Kompas.com

 保健省「サクラ」ってなんでしょうね。日本の機関なのか、中国の機関なのか?

少なくとも日本に「サクラ」って名前の保健省は存在してないと思うのですが・・・。そして、文章は以下のように続きます。

 "Kami memberikan Avigan 70-80 pasien. Namun, tidak terlalu bekerja dengan baik ketika virusnya sudah berkembang dalam tubuh," terang dia kepada Mainichi Shimbun.

(「私たちは、70-80人の患者にアビガンを与えました。しかし、ウィルスが体内で発展(増殖?)した場合あまり効果はありません」これは、毎日新聞に対して明らかにされたことです。)

China: Obat Flu Jepang Avigan Efektif Obati Virus Corona Halaman 2 - Kompas.com

 毎日新聞がソースということは、日本の機関なのでしょうか?ちなみに、参照元と推測されるガーディアンにも酷似した文章がありました。

But a Japanese health ministry source suggested the drug was not as effective in people with more severe symptoms. “We’ve given Avigan to 70 to 80 people, but it doesn’t seem to work that well when the virus has already multiplied,” the source told the Mainichi Shimbun.

(しかし、日本の保健省(厚生労働省)の情報源はその薬がより重症の人びとに対して効果がなかったと示唆している。「私たちは、アビガンを70-80人の人びとに与えましたが、ウィルスが増殖している時にはうまく働かなかったように見えた。」これは、毎日新聞に伝えられた情報です。)

Japanese flu drug 'clearly effective' in treating coronavirus, says China | World news | The Guardian

  ガーディアンでは、「サクラ」という機関は言及されてませんし、きちんと「日本の厚生労働省」としています。そして、ソースとなっている毎日新聞を探してみました。

 毎日新聞には「アビガン」関係の記事が複数ありましたが、臨床試験の結果が乗っていそうなものは以下(有料記事!!!!!)、3月16日付の記事です。

mainichi.jp

 有料記事なので、内容を精査することはできませんでしたが、代わり厚生省の情報を探してみました。しかし直接、アビガンとコロナの関係についての情報の公表はしていないようです。(記者会見などでは度々名前が挙がっているらしい。)

bio.nikkeibp.co.jp

 先にも言及した記事では、加藤厚生労働大臣の言葉として報道されています。

www.mixonline.jp

 まだ研究段階なので、厚生労働省も「なんとも言えない・・・」としていたところ、中国の研究所が有効性を認め、大々的に公表したというのが今回の国内外におけるアビガン報道の温度差につながったと考えられます。

 検証は、二月末以来続いていたようです。以下の記事では、世界での研究状況がまとめられていました。

bio.nikkeibp.co.jp

 厚生労働省では、アビガンに関する情報を正式に公表していませんが、ワクチンの開発について情報が公開されていました。

www.mhlw.go.jp

 まぁ、とりあえず厚生省は「サクラ」という名前に改名したりしていないので、ご心配なく!そして、特効薬・ワクチンの開発が進んでいる、開始されているというのは事実です。よかった、よかった。

インドネシア人コミュニティでも正しい情報をシェアしようとする試みがされていた

 私がこの記事を読むきっかけとなったフェイスブックにおけるシェアでは、医療関係者によるコメントとして、正しい情報を共有しようという動きが見られました。

 フェイスブックでシェアされていた医療関係者のコメントにリーチできるインドネシア人はこの記事だけを読むインドネシア人の数に比べてはるかに少ないことが予想できます。しかし、インドネシア人コミュニティでもこうした情報リテラシーが高まっていることを知ることができてよかったとも感じます。

 情報が錯綜しやすいご時世なので、国境関係なく情報リテラシーを高めていく必要がありますね・・・。(この記事にも誤訳・誤情報が紛れ込んでいる可能性があるので、各自・適宜参照元を確認していただければ幸いです。)

 もし、インドネシア人の友人に「保健省「サクラ」」について聞かれたら、残念ながらそんな雅な名前のついた国家機関は存在していないことを教えてあげようと思います( ´艸`)

 とにもかくにも早く、コロナ危機が収束しますように・・・・・!!!!!以上、日本の風邪薬がコロナに効くとインドネシアで話題になってる件について、調べてみた結果でした。

 



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